椅子ではなく、あえてスツールであるという「美学」
今回ご紹介するのは、玄関に置かれた一脚の「スツール」です。なぜ椅子ではなくスツールなのか、そしてそこにどのような想いを込めたのかをお話しします。
お客様の一言から始まった設置
このスツールを置くことになったきっかけは、あるお客様からいただいたインスピレーションでした。「玄関に、腰をかけて靴を履いたり、少し休んだりできる場所があるといいよね」という一言です。
AKILOUNGEは、お客様との対話によって進化する場所でもあります。日本を支えるリーダーたちが求める「心地よさ」を形にすること。その声に応える形で、このスツールは迎え入れられました。

椅子では出せない、オットマンのような佇まい
設置にあたって私がこだわったのは、それが背もたれのある椅子であってはならないということでした。
私がこれまで見てきた映画のワンシーンや、心に深く残っている美しい空間には、さりげなく置かれたスツールやオットマンが、空間の格を底上げしている場面が多くありました。
椅子を置いてしまうと、どうしても生活感が出てしまったり、玄関という限られた空間のバランスを損なったりする懸念がありました。しかし、スツールであれば、それは一つのオブジェとして成立します。椅子では決して出せない、軽やかでありながら重厚な「オットマンのイメージ」を大切にしたかったのです。

ベルベットがもたらす、肌触りという贅沢
素材にはベルベットを選びました。革という選択肢もありましたが、玄関という「オンとオフの切り替え」を行う場所において、肌に触れた瞬間の柔らかさや温かみを重視した結果、より質感が良く、品のあるベルベットに辿り着きました。
色合いについても、これまでのブログでお話ししたカーテンや絨毯、そして空間全体のトーンを邪魔することなく、かつ静かに主張する絶妙なカラーを厳選しています。

玄関という名の「ピット」の終着点
AKILOUNGEはビジネスリーダーたちのピットです。激しい戦場から戻り、ここで自らを整え、そして再び戦いへと向かっていく。
玄関は、その入り口であり出口でもあります。 トレーニングを終え、最高のコンディションに整った状態で靴を履き、ネクタイを締め直す。その最後の瞬間に、このスツールに腰を下ろし、一呼吸置く。
このわずか数秒の休息が、次の一歩をより力強いものにすると信じています。
デザイナーの既成概念ではなく、私自身のインスピレーションと、お客様の知恵が融合して生まれたこの一脚。
扉を開け、最初に出迎えるこのスツールの質感から、AKILOUNGEのこだわりを感じ取っていただければ幸いです。
